47.賛否両論だったアルバム『新しき魂の光と道』のジャケット

――アルバム『新しき魂の光と道』のジャケットを伏島さんの群馬のご実家で撮影することになった経緯は?

 前作『続いてゆくのかな』のアートワークに関して不満が残ったのは、自分たちが未熟すぎてアイディアや求めているイメージをうまく伝えられなかったからだという反省があったので、2枚目からは人選を含め積極的にアートワークに関わることにしたんですよ。アート・ディレクターのミック・イタヤさんとの打ち合わせで「“バカおしゃれ”とは何か」という話をしていた時に僕が、「昭和の時代は終わったというのに、フセマンの実家には鹿の頭部の剥製とかロレックスの腕時計の柱時計とか鮭をくわえた木彫りのクマの置物とか、めちゃくちゃヘンだけどおもしろいものがいっぱいある」と話したら「それ、ちょっとファンキーだね」とミック・イタヤさんが盛り上がり、あっという間にフセマンの実家でロケをすることになったという(笑)。

――インパクトのある衣装もメンバーの意見を反映させて?

 衣装はダサかっこいいスタイリングに当時腕をふるいまくっていたスタイリストの馬場圭介さんにお任せしました。“バカおしゃれ”というコンセプトをもっと洗練された方向でまとめることも可能だったでしょうし、「こんなことまでやらなくても・・」と言ってくれるスタッフがいてもよかったと思いますけど、切り口が斬新すぎてスタッフは口を挟むことができなかったんでしょうね(苦笑)。「今のままだと状況は厳しいぞ」と宣伝のスタッフにプレッシャーをかけられてもいたから、「とことんやろう!」という方向に僕らのベクトルも向いていたのかもしれないし、アートスクール出身のメンバーはみんなチャレンジングな表現はウエルカムだったから、むしろ「もっといっちゃう?」とおもしろがってもいたと思います。このジャケット、スタッフの間では賛否両論でしたけど、素晴らしいですよね。今、見てもおもしろいものもいっぱい写っている。ちょっと早過ぎたのかな。確かアルバムにはシールがついていて、氣志團の綾小路翔くんが「“バカおしゃれ”のシールを机に貼ってました」と話してました。思わぬところに影響を与えてたみたいです。

――アルバムのタイトルを『新しき魂の光と道』にしたのは?

 提案したのは僕ですね。ダニー・ハサウェイの『新しきソウルの光と道』(1970)というアルバムタイトルをもじったもの・・というか、ほとんどそのままですね(苦笑)。シャレでつけたんでしょうけど、宗教感が溢れすぎていてちょっとヤバいですね。非常にファンクな内容なわけだから、もっとライトなタイトルでよかったのに。

( 2ndアルバム「新しき魂の光と道」のカセット。カセットが発売されたのは2ndアルバムまででした。)


インタビュー : 木村由理江