40. 2曲をつなげた経緯は謎のまま『ぼくはぼくを信じて~満ち足りた男』

――『満ち足りた男』のヴォーカルは丸山さん。歌詞は浜崎さんです。

 これもメンバーとセッションしながら作ったんだと思います。おもしろがってヴォーカルを自分以外にしようと考えたんでしょうけど、それが加藤でもじゅんちゃんでもなくどうして丸山さんだったのか・・。多分歌詞を作った時に、「丸山さんが歌うとおもしろくなるんじゃないの?」と閃いたんでしょうね。丸山さんの歌声は個性的だし、力が抜けていて満ち足りているようにはとても聴こえない。そこがいいと思ったんじゃないかな。

――独立した2曲をつなげて1曲にしたのはなぜですか。

 経緯はちょっと憶えてないんですけど・・。ただ、今、久しぶりに聴いて『満ち足りた男』の最後のギターは『傘がない』のイントロで、当時ライブでその2曲をよくつなげて演奏していたことを思い出しました。多分、レコーディングをしている時に、『ぼくはぼくを信じて』の最後のギターソロからそのまま『満ち足りた男』に入っちゃうのも斬新なんじゃないかと考えたんでしょうね。

――曲のテーマが同じだからというのもあったでしょうか。

 それもあったでしょうね。あとはビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリーハーツ・クラブ・バンド』とか『アビィロード』の“組曲形式”に対する憧れがずっとあって、当時よくライブでもいろんな曲を組曲的に演奏していたんですよ。チャック・ブラウン&ザ・ソウル・サーチャーズの、2時間半くらいノンストップで演奏し続けるライブアルバム『Live - D.C.Bumpin’Y’All』がみんな大好きだった影響もあるでしょうね。ゴーゴービートは変わらないのに曲は次から次へ変わっていくという彼らのライブのようなことを、自分たちでもやりたかったのかもしれない。

久々に聴きましたけど、ジャズファンクな『ぼくはぼくを信じて』の最後の丸山さんのギターソロが『満ち足りた男』のイントロになっていく、その“なり方”がなんとも言えず有機的で、理屈っぽくないのがすごいと思う。前の曲のギターソロが次の曲のイントロになるって、なかなか思いつかないアイディアだし発明ですよね。こんなイントロ作ったの、他に誰もいないんじゃないかな。見事だなーと思いました、自分たちがやったことですけど。

(デビュー当時にテレビ出演したときのもの。)


インタビュー : 木村由理江