3.子どもの頃に好きだった音楽 その2
――歌謡曲に興味はなかったんですか。
洋楽の方が好きでしたからね。でも天地真理さんの『恋する夏の日』(1973年)は大好きでした。あとは郷ひろみさんかな。今、ちょっと研究中なんですけど、郷ひろみさんってすごくポップじゃないですか、楽曲もキャラクターも。『カックラキン大放送』(1975年~1986年)とかでギャグを言ったりコントしたりしてるのもいいなーと思ってました。コントをやるアイドルが好きだったんですね。だから野口五郎さんとかトシちゃん(田原俊彦さん)も好きでしたよ。
――バンドの名前は全然出てきませんね。
あまり興味がなかったんですよ。ただ中学に入ってから知ったRCサクセションとYMOはかっこいい! と思ったし、とくにRCサクセションにはとても感激してハマりました。(忌野)清志郎さんの歌詞も大好きでしたね。あとは荒井由実さんかな。当時の僕が音楽的なファンキーさやサウンドのかっこよさをどこまで感じていたかわからないけど、聴くたびにメロディがすてきだなと思ってました。とくに印象に残っているのは『翳りゆく部屋』(1976年)。あの曲はメロディよりも歌詞に「ムムッ」ときた記憶がある。意味や内容までは理解できていなかっと思いますけどね。あと荒井由美さんが書いたハイ・ファイ・セットの『卒業写真』(1975年)も、すてきだなーと思ってました。とくにあの山本潤子さんの声。山本さんの声はいまだにずーっと好きですけど、あの曲を歌う山本さんの声は格別なんですよ。聴くたびに「なんてすてきなんだろう」と今でも思います。
――どんなふうに“すてき”なのでしょう?
うーん。難しいなあ。山本さんの声には“陰”というか“憂い”みたいなものがありますよね。それがあの曲のサウンドの都会性と融合した時に、孤独感が際立つというか。それが魅力的に響くんだと思います。カレン・カーペンターの声にもありますよね、ちょっとした憂鬱さ、みたいなものが。あの気だるそうな感じがたまらん、と思ったのかもしれないですね。
――カレン・カーペンターも好きだったんですね。
初めて聴いてびっくりしたのはビートルズでしたけど、カーペンターズもすごいなあと思ってました。カレン・カーペンターのあの声もすてきだったし、お兄さんのリチャードとのハーモニーがまた圧巻じゃないですか。ジョン・レノンとカレン・カーペンター、二人とも歴史に残る声のよさだと思う。ものすごく響きました。
インタビュー : 木村由理江