127. 30代になって初めて歌えた、両親への感謝の気持ち
――11曲目の『気分上々~つながってゆく世界~』はどこかほのぼのとした楽曲です。
経緯は憶えてないので、多分、自分の中から自然に出てきたものを素直に形にしたのだと思います。こんなふうに家族に感謝する気持ちになれたのも、それを形にしたのも初めてでした。高校生の頃から生まれ育った街を早く出たいと思っていたし、地元や家族とは距離を置いていた時期もありましたから、家族とは遠く離れたところで自分を探し、成長していこうという時間を長い間過ごしていましたから。それが30代になり、20代で終わると思っていた人生が30代を迎えたことで、意識が少し変わったのかもしれないですね。
曲としてもよくできていると思います。ちょっとビートルズの『All You Need is Love』的なところもあって、世界にハッピーを届けるというポップスの可能性を極めたいという想いが随所に現れている気がします。メンバーの演奏もすごくいいし、本当にポップですよね。ちょっとソロ的な色合いが強いかもしれないけど・・。
――〔本当は強く抱かれたいのに〕とシングルでは歌っていたのに、アルバムの最後で〔抱きしめて抱きしめられながら〕と双方向になっているところがいいですよね。
そういう愛を感じたんでしょうね、いろいろね。
――愛し愛される経験を通して、愛情を注いで育ててくれたご両親にも素直に感謝できるようになった、ということですか。
まあ、そういうことです。
――最後を飾るのは『My Friends』。解散を知ったあとに、この曲にはファンへの想いが込められていたのかなと、深読みしたことがありました。違うとは思いますが。
違いますね(笑)。当時苦境に陥って辛い想いをしていた友達を励ましたいという気持ちとその頃の僕の日常が歌詞のモチーフになっています。壁中落書きだらけの西麻布のカフェにもよく行っていたし、フランスのブルゴーニュを旅行した時に一緒だったカメラマンの小暮徹さんとイラストレーターのこぐれひでこさん夫妻から「体があったまるよ」と教えてもらったエスプレッソに角砂糖とカルバドスを加えたカフェ・カルバもよく飲んでいたし、まだタバコも吸っていた。当時の日記のような歌です。
コード進行は、ソウル・チルドレンという男女4人組のアメリカのソウルグループの曲からいただきました。その曲のコード進行が好きで、それで何か新しい曲が作れないかと思ってスタジオで作業をしていた記憶があります。5人のホーンセクションも飯野さんが弾いているピアノとオルガンの雰囲気もいい。『GOSPEL HOUR』(1992年)で培った技術をさらに進化させたゴスペル的なコーラスもすごく気に入っています。
数年前、大阪のFM COCOLOでFLYING KIDSがマンスリーでレギュラーをやった時に、各メンバーが好きなFLYING KIDSの過去曲を選ぶことになり、宇賀まりさんが選んだのがこの曲でした。番組で久しぶりに聴いて「なるほど! いい曲だ!」と。2023年のFLYING KIDSのツアーでも演奏したし、ソロの弾き語りでもたまに歌います。

(1997年頃のFLYING KIDS。)
インタビュー : 木村由理江

