107. アルバム『HOME TOWN』が8曲になった理由
――アルバム『HOME TOWN』を改めて聴いてどんなことを思いましたか。
単独で聴くとそれぞれ「いい曲だなあ」と思いますけど、アルバム全体として考えるとファンキーな部分が以前より薄れているし、メッセージもすごくシンプルになっていて、ストレートな言い回しが増えてると感じますね。あと1、2曲加えて、”HOME TOWN“というコンセプトの世界観をもっときちんと仕上げることもできたんじゃないかな、とも思いました。
――そしたらアルバムは10曲入りになったかもしれないですしね。
8曲入りになった一番の理由は時間がなかったことだったと思いますけど、振り返ってみると当時は毎日のようにスタジオに缶詰みたいになって曲を書いていて、それがだんだん厳しくなっていた頃だったんですよ。もっとチャレンジしなきゃと模索しながら曲を書くことにも、(阪神大震災以降の社会に蔓延した)ネガティヴな感覚から脱出できない中で曲を書くことにも、疲れ切っていた。それでも『とまどいの時を越えて』、『暗闇でキッス』、『Christmas Lovers』とシングル曲をなんとか作っていたので、「ちょっと曲数は少ないかもしれないけれど、シングルがこれだけ入っていたらアルバムとして形にはなる。もうこれで勘弁してください」と思っていたことが今、蘇りました。
――それで“HOME TOWN”というコンセプトでアルバムをまとめようとした、と。
その努力は実を結んで、1枚のアルバムとして楽しめるものにできた気がします。震災やテロによってもたらされた不穏な空気を軽くしたい、不安な人の気持ちが少しでも救われるようなもの=エンターテインメント性の高いものを作らないといけないという想いを形にできたというか。歌詞の内容がシンプルに、ストレートにもなっているのは、そこを意識したからかもしれない。「メッセージはもっとわかりやすくていいんじゃない?」というスタッフの意見も多かったし。ただちょっと単純化し過ぎたし、わかりやすくし過ぎました。元々捻くれている僕にはそれをやり続けるメンタルはなくて、「これってシンプル過ぎないか?」という疑問が芽生えてしまい、次のアルバムの制作で爆発してちゃいますからね(苦笑)。その続きは『ディスカバリー』の時に話します
アルバムのジャケットもすごく保守的というか毒っけがないですよね。“バカおしゃれ”はもうどこにも見当たらない。まだ『Communication』の時には残っていたんですよ。裏ジャケで丸山さんや淳ちゃんがなんか変なものを被っていたりしますから。そこに違和感を感じて、「なんかちょっと違うんですよねー」とゴネた記憶があります(苦笑)。それで次のアルバムではまた別のデザイナーさんにお願いすることになるんですよ。

(1990年代にミュージックステーションに出演した時の模様)
インタビュー : 木村由理江

