33.ゴスペルに興味を持ったのは大学時代

――ゴスペルに興味を持ったきっかけは?

 大学の同じ美術科にソウルミュージックがものすごく好きな女の子がいたんですよ。彼女はファンだった大沢誉志幸さんのラジオ番組で知ったソウル・チルドレンというメンフィスで結成された男女4人のソウルグループにすっかりハマっていて、いろんなことを僕に教えてくれた。その影響はすごく大きかったです。そこからソウル・チルドレンが所属していたStaxレーベルのゴスペルのミュージシャンたちがたくさん参加したコンサートの記録映画『ワッツタックス/スタックス・コンサート』(1972年8月20日、ロサンゼルスメモリアムコロシアムで開催)やゴスペルのスターたちがたくさん登場する映画『ゴスペル』(1981年に開催されたゴスペルコンサートのドキュメンタリー)を観に行ったり、アレサ・フランクリンのアルバム『史上の愛~チャーチコンサート~』(1972年にニュー・テンプル・ミッショナリー・バプティスト教会でのライブを収録)を聴いたり。デビュー前かな。マイティ・クラウズ・オブ・ジョイというゴスペルグループの来日コンサートを虎ノ門ホールに観に行って、最後、メンバーに「上がってこいよ!」と誘われてステージで盛り上がっていたら、なぜか隣にじゅんちゃん(浜谷淳子)がいてびっくりしたこともありました(笑)。別で行ってたのにね。

――ゴスペルのどんなところに魅了されたんですか。

 そもそも僕はロックの根底にある“何かから脱出する感覚”、“音楽で何かをブチ壊すことによって自分の精神が切り拓かれていくような感覚”に惹かれたんですが、ゴスペルにも同じようなものを感じたんですよ。それと、当時の自分が勝手な妄想を膨らませて誤解していた部分もあるでしょうけど、ゴスペルを歌う信者の方々が最終的に感じていると思われる“興奮”とか“開放感”に憧れたというか。自分の音楽でもそれを与えられたら、自分の音楽の力として最高だろう、と思ったんです。僕自身、ちゃんとしたゴスペルを歌ったことはないけど、シャウトに関して一番影響を受けたのはゴスペルだったかもしれない。ゴスペルみたいには全然できませんでしたけどね。

――浜崎さんの歌はいろんなものから影響を受けているんですね。

ロックとかジャズとかゴスペルとかいろんな音楽に興味を持ち、影響も受けて、それがだんだんひとつにまとまってFLYING KIDSになっていたんでしょうね。

――そういえばデビュー当時のコンサートのMCも独特でした。

 牧師の説教みたいなスタイルでしたね。ゴスペルの影響を強かったんでしょうし、普通のトーンで話すのが恥ずかしかったんだと思います。

(大好きなThe Soul Childrenのレコード。商品が少なく見つけ出すのが大変だった。多分渋谷のManhattan Recordsで購入。)


インタビュー : 木村由理江