115.群像劇的な歌詞、他にはない構造の歌詞にもチャレンジ
――アルバム『真夜中の革命』の8曲目は『ブルー』。しっとりした曲をイメージしがちな気がしますが、意外にもご機嫌なアップテンポ。切なさもないわけではないんですが。
アメリカの音楽に詳しい飯野さんがよくニューオリンズ系の音楽を聴いてたんですよ、ドクター・ジョンとかボ・ディトリーとか。あの賑やかで陽気なビートで何か、と思って作った曲がベースになっています。ビートはボ・ディドリーのシングル『Bo Diddley』(1955年)で知られる“ボ・ディドリー・ビート”ですね。
間奏ではカズーを重ねています。多分、ビートルズの『Lady Madonnna』(1968年)の真似ですね。わざわざ買いに行って、僕が吹いたはず。曲の頭にポラロイドの写真が出てくる時のジーという音を入れたり、教会を思わせるハモンドオルガンを挟んでいきなり賑やかに展開したり、カズーの後半に丸山さんのハーモニカが絡んだり。そういう細かな演出もすごく気に入っています。
――カタカナ三文字の名前が次々登場する歌詞も印象的でした。
群像劇的な歌詞を発明したいという発想が、この曲を作るエンジンになりましたね。故郷・宇都宮での思い出をベースにしながら、実在の友達や親戚を含め三文字の名前の人物にまつわるエピソードを歌い、自分の想いはサビでだけ表現する。なかなかうまくいったと思います。陽気な歌のようで、透けて見える裏側にちゃんと陰があるのも気に入っています。僕がいまだにこの歌う理由もその辺にあるんでしょうね。
“ブルー”はもちろん“青春”です。このアルバム自体が非常に“青春回帰”的だと思うし、だからとってもエモいんですよね。
――9曲目の『HEY! GIRL!~君を知りたい~』の歌詞は、21行中15行の冒頭に〔Hey! Girl!!〕が並びます。ちなみに残り6行のうち4行は〔Hey! Boy!!〕。斬新ですね。
他にはない構造の歌詞で曲が作りたいというチャレンジでしたが、かなり苦労しました。
歌詞のテーマは“欲情”です。当時の僕は、女の子がかわいくてしょうがなかったんでしょうね(苦笑)。謎だらけで、知りたいことがたくさんあった。『青春は欲望のカタマリだ!』というアルバムも作りましたけど、自分の欲望の存在をサウンド化したい、「君のこと、好きなんだよね」と興奮している感じを表現したかった気がします。今ならもっとファンキーなリズムにしたり、他にやれることがたくさんありそうだけど、当時はそこまでの遊び感覚も余裕もなかったんでしょうね。
歌入れはコントロールルームでメインのスピーカーから音を出しながらやりました。なかなか“感じ”が出なくて、マイクを変えたりして何度もやり直した記憶があります。
――メンバーもおもしろがっていたんですか。
そんなにノってはいなかった気がします。事務所の社長にも「こういう下ネタ、いかがかね」と言われて、「そんなこと言わなくてもいいのに」と軽く凹んだ記憶があります。でも『少年の宝物』みたいな曲を歌っているとつい恥ずかしくなって、アホなことも歌わずにいられなくなってしまうんですよ(苦笑)。
この曲でのチャレンジはなかなかのものだろうと思っていたのに、ツアーが終わったらほとんどライヴで演奏しなくなりましたね。自分でも聴き返すこともないまま今日まできちゃいました。

(大学生の時組んでいた東京ボンバース&ニューブリーフ。後列の右から三番目はスカパラの名古屋さん。)
インタビュー : 木村由理江

