131.2枚組のベスト盤のジャケットはひとつの集大成
――年明け2月のラストコンサート「これからの君と僕のうた」の前日、初のベスト盤『BEST OF FLYING KIDS~これからの君と僕のうた~』が発売されています。新曲1曲を含めた33曲を収録。選曲はみなさんで?
そうです。解散が決まったあとの話し合いで出てきた企画です。今見るとちょっと変わった選曲ですね。本来入るはずのないような曲が入っている。例えばシングルになってない『木馬(あたたかな君と僕)』とかインストゥルメンタルの『新しい自転車』とか。ファンのみなさんに愛された曲というより、当時のメンバーの想いが反映されている気がします(ベスト盤に封入されたメンバーの写真が載ったインナースリーブを見ながら)暗いなあ・・。
――この撮影時のことは憶えていますか。
なんとなく。解散することはまだ極秘事項でデザイナーやカメラマンは何も知らないままでしたけど、僕たちはそのことをひしひしと受け止めちゃっていたから、ちょっと深刻な感じになっているのかもしれない。アートワークのコンセプトが“白黒”で、みんなほぼ真っ白な衣装で証明写真っぽい表情のない顔をしてるし、集合写真も「最後の晩餐」みたいに横並び・・。偶然なんですけど、“解散”をイメージさせるものになっちゃいましたね。
――最初に描いていたジャケットのイメージはどんなものだったのでしょう?
アート性の高い、シンプルで美しいジャケットです。CDをパッケージも含めて一つの作品にしたいと考えてました。それで当時、非常に先鋭的だけど丁寧な仕事をするとアートディレクション界では評判だった平野啓子さんと、キレキレの写真で注目を集めていたホンマタカシさんにお願いしました。二人とはめちゃくちゃやりとりしましたね。最終的にジャケットのコンセプトを決めたのは平野さんです。白、黒、青、黄色、灰色の5色を、2枚のCDケース、2冊のインナースリーブ、2枚のCD盤、最後の作品ということで特別仕様にしてもらったプラスチックケースにあしらい、それぞれを入れ替えることでいろんな色の組み合わせを楽しむことができるという、他の誰もやったことのないヴィジュアルです。FLYING KIDSはジャケットでも毎回チャレンジしてきましたけど、ひとつの集大成と言えるものになりました。解散の発表のあと、デザイナーとカメラマンから「知ってたら引き受けなかった」と言われました。
――DISC2最後の新曲『アゲハ~これからの君と僕のうた~』は浜崎さん作詞・作曲です。
最後に新曲を入れようと決めてバンド内でプレゼンをした時に、歌詞、曲、アレンジまで含めたデモテープで持って行ったのは僕のこの曲だけだった気がします。メッセージも最後に相応しいし、みんな「いい曲だ」と認めてくれましたけど、スタッフからは「もっと勢いのあるハッピーな曲で終わるのもありじゃないか」という意見もあったんですよ。でも最後の曲を書くんだと意識してすぐにできた曲だったし、そもそも僕は企画に沿って曲を書くのは苦手なので、「最後だからアッパーな曲をと言われても書けません」と突っぱねました。それでみんな諦めたというか、納得してくれたんじゃないかな。鍵盤だと非常に弾きづらいEフラットやBフラットを使っているので、飯野さんは「最後の曲でこのコードか」と愚痴ってましたけどね(笑)。

(大学の卒業式での、両親との写真。1989年3月20日。イカ天に出た後の頃。)
インタビュー : 木村由理江

