122. 中園さんのドラムをサンプラーに取り込んで作った『君にシャラララ』

――1997年9月4日には18枚目のシングル『君にシャラララ』が発売されます。この曲では高野さんはコーラスにも参加しています。

 アルバム『Down to Earth』の一番のメイン曲でしょうね。ライブでもいまだによくやっています。とくに中園さんがやたらとやりたがる(笑)。

 自分の作る曲がロックっぽくなってきちゃっていたので、ファンクな方向に戻していきたいと思っていたんですよ。そこに、サンプラーを多用してファンクロック的な音楽を生み出すケミカル・ブラザーズが登場してきた。彼らのやり方をFLYING KIDSに応用しようと盛り上がり、サンプラーに中園さんのドラムを取り込んでループさせ、そのグルーヴをベースに仕上げたのがこの曲です。過去に何度か、ホーンセクションやストリングスのサンプリング音源を飯野さんが使ってはいましたけど、ドラムをサンプラーに取り込んで使ったのはこの曲が初めてでした。メンバーからも高野さんからもいろんなアイディアが出て、複雑にいろんな音が絡み合っています。最終的に音を整理するのにかなり苦労した記憶があります。今聴いても、すごく新しいですよね。

 歌詞を書く時は、『本当は強く抱かれたいのに』で試した、一曲の中にいろんなドラマを詰め込みつつもっとリリカルすることを意識していた気がします。どちらかというと陰の世界だった『本当は強く抱かれたいのに』とは逆に、陽の世界に光を当てて歌にしていこう、とも。とはいえメッセージはあるようでないんですよ。あまりいろいろ考えず、メロディに合わせて感覚的に歌詞を書いていた時代でしたから。〔君にシャラララ〕というフレーズも意図せず出てきた気がするし、それで何を言おうとしたのか、と訊かれても答えに窮するというか。「言葉じゃ伝えられないもの」ということなんでしょうけどね(笑)。この頃は(スイッチが入ると)曲も歌詞もほぼ一緒にスルスル出てきてましたね。収録曲が少なかった『HOME TOWN』の頃とは全然違ってた。

――カップリングはアルバム『Down to Earth』にも収録される『NEW ADVENTURE』。アルバムで作曲のクレジットがFLYING KIDSなのは、この曲だけです。

 僕が持って行ったモチーフをもとにセッションして作ったんじゃないかな。久しぶりに聴いて、予想以上にかっこよかったのと録音のよさにびっくりしました。この頃のFLYING KIDSはすごくクオリティが高いですね。“次なるFLYING KIDSを生み出していくぞ!”というみんなの強い想いを感じます。

――タイトルにその心意気が現れていますね。

歌詞は井上陽水さんの影響を受けている気がします。〔人生は冒険なんだってさ 出掛けようか〕というフレーズや、世界各地を旅するような歌詞にしたいというアイディアも最初の段階からあって、アニメ『狼少年ケン』の主題歌みたいに、ドラムが印象的に聴こえるようなアレンジにしたんだと思います。『君にシャラララ』にも言えることですけど、ロック的なニュアンスが強い曲を、ファンクとは言わないまでもなんとかダンスミュージックまで戻したいという想いが強かったんでしょうね。と言いつつ、『Down to Earth』は割とメロウな曲の多いアルバムになっちゃってるんですけど(苦笑)。声もよく出ているし、勢いがあっていいですよね。アルバムに収録されている曲をなぜカップリングにしたのか思い出せないけど・・。何か事情があったんでしょうね。

(ドラマ「智子と知子」のワンシーン。飯島直子さん、田中美佐子さん、柏原崇さんと。)


インタビュー : 木村由理江