121.いろんな想いが込められていそうな『本当は強く抱かれたいのに』
――『Love & Peanuts』のカップリングの『本当は強く抱かれたいのに』は浜崎さんの作詞・作曲。アレンジはFLYING KIDSです。
よく憶えてないんですが、オケがどんどん仕上がって行くので、スタジオで慌てて歌詞を書いて歌った記憶があります。それを見ていた飯野さんが「歌詞って簡単に書けるんだと思った」とよくインタビューで話してました(笑)。
ピアノがメインのアレンジだったり、ちょっとビートルズ的になっているのは、当時、僕がビートルズに関する本をいろいろ読んでいたからでしょうね。ドラムのレコーディングを、その頃主流だったパーツごとにマイクを立てる方法ではなく、ドラムセットの上部左右に1本ずつとスネアに1本立てるという方法を採用したのも、1960年代頃の古いやり方を真似したからです。サビの〔本当は強く抱かれたいのに〕をメンバーが歌っているのも、僕のアイディアだった気がします。
――「バンドのコーラスを今年(1997年)のテーマにしようと思っている」というようなことを当時のインタビューでおっしゃっています。
そうでしたか。確かにコーラスはよくハーモナイズされているし、すごく気持ちよくできてますね。こういうのって、今やろうとするとなかなかできないんですよ。若い声だからできたというのもあるのかな。なぜコーラスにこだわろうとしたかよく憶えてないですけど、それを意識してサビを全員で歌ったのかもしれないですね。
――スタジオでささっと書いたという歌詞についても教えてください。
事務所の社長に「他の人の人生を歌にできないと長く続けられない」と言われたことがあるんですよ。自分の人生は20代で終わると覚悟していましたから、最初のうちはすべてを残しておきたくて自分の物語ばかり歌っていましたけど、同い年の尾崎豊さんが27歳で突然亡くなってしまったことや自分が30代になったことで意識が変わり、誰かの物語も歌えるようになりたいと考えるようになったんでしょうね。それがポップスを作り始めたことにも繋がった気がします。で、このメロディなら誰かの物語が書けそうだ、とピンときて、書き始めたらすぐにできた。どこか“言葉遊び”的で“情念”みたいなものが欠けているようにも思えますけど・・。僕の中にあったのは“本当は強く抱かれたいのに”という想いだけだったのかもしれないし、ひょっとしたらそれはバンドが少しずつ変わり始めていることに対する本音だったのかもしれないですね。そう考えるとこれも自分の話ということになってしまうんだけど(苦笑)。それはそれでよくできていると思います。
――最後のフレーズが〔本当は強く〕で終わっているところも意味深です。この曲はアルバム『Down to Earth』には収録されていませんが、『気分上々~つながってゆく世界~』に〔抱きしめて 抱きしめられながら〕というフレーズも出てきます。この時期、何かあったんですかね。
なんか、寂しかったんでしょうね。これも隠れた名曲かもしれない。

(大学時代の手帳に書いてあった時間割。多分大学2年生の頃。美術以外の一般教養科目が選択されている。奨学金をもらっていた記載あり。)
インタビュー : 木村由理江

