117.アルバム『真夜中の革命』の制作期間はおよそ11ヶ月

――アルバム12曲目は『真夜中の革命』。タイトル曲ですね。

 タイトル曲を作ろうとしたわけではなくて、「今回のアルバムで自分が言いたかったことはなんだろう?」と考えているうちにこの曲ができてきて、アルバムタイトルもこれに決めたんですね。一気に書いて、一気に録音したはず。なんか興奮しちゃってて、夜中に書いた手紙みたいな感じですね(苦笑)。

――歌われているのは自分自身とバンドの両方を鼓舞するような想いでしょうか。

 おそらくそうなんでしょう。確かに“頑張ってみんなで次のステップへ行こうよ”と歌ってはいますけれど、でもそれだけじゃない・・。『風の吹き抜ける場所へ』以降、売り上げはそれなりに好調で、ツアーもたくさんできるようになってはいたけれど、「こういうことをやりたかったんじゃないんだ」という僕の中でむくむくと生まれていた妙な反骨心とか、安定し切らない状況に対する不安、FLYING KIDSのフロントマンとしてあるべき“浜崎貴司”というキャラクターを維持しきれずに、正直な気持ちが作品に現れてしまう自分を不甲斐なく思う気持ち、相変わらずどこかでアマチュアリズムを抱えたままのメンバーへの不満めいたものも隠れているので。

この曲は一度完成させたあとに録り直しました。“自分の殻を壊せ”と歌っているのに、演奏がちゃんとし過ぎているんじゃないかと思い始めたんですよ。それで“せーの”で一発録りをしたんですが、それでもやっぱり丸山さんのギターが真面目で丁寧過ぎて・・。最終的に雑で荒々しい僕のギターに差し替えたりもしました。全体に勢いがあるし、パンクな匂いがしますよね。パンクは僕のルーツのひとつですから、僕の原点回帰にバンドを付き合わせちゃったのかもしれない。

――独特な勢いを感じさせるアルバムです。レコーディングの雰囲気はいかがでした?

 僕はとにかくめちゃめちゃ気合が入ってました。他のメンバーがヘタってアイディアやヴィジョンを提示できないような状況の中で、僕がウーっとヴィジョンを提案して、グーッと引っ張っていた気がします。新たな楽曲を作るのは大変なことだけど、新しいヴィジョンがあれば踏み出せるはずだと思っていたので。FLYING KIDSの初期のカラーの一端を担っていた加藤くんから「曲が書けなくなった」と聞いて、「その分自分が頑張らなきゃ」と思ってもいたのかもしれない。レコーディングする曲も僕が中心に決めていて、“全員一致”というのはあまりなかったですね。「よくわからんけど浜崎がそう言うなら信じてやるしかないな」という感じでした。丸山さんは正直だから「違うと思うなー」と言ったりするんですけど、「新しいステージに行こうとしているんだから異論が出てくるのは当然」と覚悟してました。実際に出てくると凹むんですけどね(苦笑)。それでもFLYING KIDSのためになることだから、と自分に言い聞かせ・・。アルバムに『真夜中の革命』というタイトルをつけるくらい、僕はFLYING KIDSを変えたがっていたんでしょうね。新しい路線に行かないとバンドが継続できないという危機感を抱えていたので、息切れしながらも必死でした。レコーディングも長かったんですよ。11ヶ月くらいかかったはずです。

(小学校の卒業アルバムに書いた作文。)


インタビュー : 木村由理江