111.タイアップが運命を変えた『ディスカバリー』
――『真夏のブリザード』をリリースしたあと、FLYING KIDSは6月に“全力投球カーニバル”を神戸のチキンジョージ(6月11日)と日清パワーステーション(6月14、15日)で行い、8月に“LIVE CLAPPER’96 東北ライブサーキット”に参加しています。
ミッシェル・ガン・エレファントとコレクターズと一緒に出たイベントですね。
――そして10月28日に『ディスカバリーc/w DISCOVERY(WHITE LIVE MIX)』をリリース。これはサッポロビール「冬物語」のCM曲でした。
この曲は6月のパワステのライヴでも披露しています。ただその時は別の歌詞とタイトルでした。「すごくかっこいい曲だ、新しいFLYING KIDSだ」と盛り上がったレコード会社のスタッフが、精力的にプレゼンをしてくれたおかげでCMタイアップが持ち上がるんですが、「CMに合うように歌詞を変えてほしい」とリクエストされまして。それで歌詞を書き直し、タイトルも変更したんです。
――最初はどんな歌詞だったんですか。
当時の自分の状況や心情を赤裸々に吐露した歌詞でした。メンバーと一緒に走り続けていたはずなのに、気がついたら自分一人になっていて、それに対して「何しちゃってるのオレ?」とツッコミを入れるような。“取り巻きに囲まれて”と自分の姿を辛辣に表現した歌詞もあって、スタッフがざわついたりもしていました。作ったというよりも“書いてしまった歌詞”ですね。だから事務所の社長も「書き直すかどうかは本人に判断させるしかない」と委ねてくれた。かなりかなり悩みましたけど、すごく大きなタイアップでしたから、自分のエゴみたいなものでみんなに聴いてもらえるチャンスを失ってしまうより、みんなの歌になった方がいいだろう、と。それで歌詞を書き換えることに決めました。簡単な作業ではなかったですけど、雪の中で自分の大事な人を探す歌にすれば、自分が歌に込めていた想いも残せるしCMにも合うんじゃないかと方向性が見えてからは割とスムーズでしたね。歌詞の一部を残したことで、剥き出しにしていた自分の刀がきちんと鞘に収まって、その上でまた先へ進んでいける気がしたというか。書き換えた歌詞を見たフセマンが「本当にいいの?」と確認してくれましたけど、「これでいいです、これでいきましょう」って。
――歌声にもとても迫力があります。
雪を舞台にした歌詞の世界と元の曲に込めた“魂”がうまくハマったことが大きかったんでしょうね。だからシャウトが本当のシャウトになっているし、これ以上ないという歌が歌えました。後悔は全くないし、シングルとしてちゃんとリリースできてよかったと今でも思います。ただ自分のために書いた楽曲を、プロフェッショナルな作業でCMソングに仕立てるのは、なかなか困難な作業だったのは確かです。一歩間違えば大失敗して、僕もメンタルをやられて活動中止、みたいなことになる可能性もあったわけで、奇跡的にうまくいったということだと思います。

(「風の吹き抜ける場所へ」の時に作ったTシャツ。カルバンクラインのパロディ。)
インタビュー : 木村由理江

