51.GO GO が大得意な中園さんのドラムが光る『炎(ファイヤー)』
――アルバム『新しき魂の光と道』の9曲目は『マッチョズのテーマ』。作詞・作曲は丸山さんです。当時はスルーされていたでしょうけど、今だとちょっと問題視されそうなところもありますね。
やばいですね(苦笑)。丸山さんが書かなそうな歌詞があるから、コンセプトは多分、僕が考えたんだろうな。『マッチョズ宣言』を作ったから『マッチョズのテーマ』も作ろう、と僕が言い出したんでしょう。『あれの歌』(『続いてゆくのかな』収録)をサンプリングしたりしてますね。あとは・・。この曲についてはこれくらいで大丈夫です(笑)。
――10曲目の『炎(ファイヤー)』はオハイオ・プレイヤーズの『ファイアー』(1974年)のカバーです。
とはいえ、曲の構成も違うし、歌詞もオリジナルを無視して僕が妄想で勝手につけたものですけどね(苦笑)。どうしてこの曲をカバーすることになったんだっけな・・。初期のFLYING KIDSはGO GOのグルーヴに日本語をのせるという試みを何度かやっていたんですよ。『傘がない』もそのひとつで、「すごくかっこいいのができた!」と盛り上がったその流れで、この曲をやろうということになった気がする。
GO GOはワシントンDCが本拠地だったチャック・ブラウン&ソウル・サーチャーズが1970年代に始めたリズムで、実は中園さん、なぜかGO GOが大得意なんですよ。GO GOに詳しくて、いろんなドラマーとセッションしているSWING-Oが「中園さんの叩くGO GOは日本一かも」と絶賛し、中園さんをフィーチャリングしたバンドでGO GOだけのライブをやってるくらいですから。その中園さんのドラムが一番光っているのは、この曲だと思います。
肩に力を入れて本家と向き合ってではなく、遊びに近い感覚でリラックスしながら作ってました。ポップスにはこんなにファンキーな曲もあることを広く知ってもらおうと考えていた気がします。それが自分たちの役割だと思ってもいたし。
――セリフは最初からついていたんですか。
チャック・ブラウン&ソウル・サーチャーズのライブはGO GOのグルーヴが延々続くんですがも、曲と曲の合間にGO GOのグルーヴに乗せてお客さんと会話をして次の曲に入っていくというのをよくやっていたんですよ。この曲をライブでやる時には前の曲からのなだれ込みで演奏することが多かったから、彼らを真似て僕も何かしゃべったりしてたんです。それも“気合は入ってるけどスベってる”みたいな、当時としてもちょっと時代遅れなキャラクターで。普通、そういうのはライブだけのものなんでしょうけど、そのまま収録したらおもしろいんじゃないかと思ったんでしょうね。オハイオ・プレイヤーズのファンクな曲を日本語でカバーするということで、FLYING KIDSなりの“ファイヤー感”をセリフの部分で演出したかったのかもしれない。
(FLYING KIDSのドラマー中園浩之。中さん。)
インタビュー : 木村由理江