101.旅情を楽しむ余裕はなかった“Refresh!! Body and Soul”ツアー

――『とまどいの時を越えて』のカップリングは『恋の瞬間』のリミックスです。

 『DANCE NUMBER ONE』にマニピュレーターとして参加してくれたDJの福富幸宏さんのリミックスがすごくいいと評判だったので、お願いしました。曲はこちらが指定したわけじゃなくて、福富さんが選んだんじゃなかったかな。FLYING KIDSでやっていたらとてもこうはならないディスコチックな四つ打ちのグルーヴで、当時からすごく気に入ってました。ストリングスも伸びやかで開放感があって、コード的にちょっと噛み合ってないところも、ぶっちぎってしまうあたりとかDJならではという気がします。クラブに対応できる要素をFLYING KIDSに残しておきたいという想いが当時の僕らにあったんでしょうね。

――『とまどいの時を越えて』のリリースのほぼ1ヶ月後の5月31日から“Refresh!! Body and Soul”ツアーが始まります。約2ヶ月で全国14ヶ所15公演。最後は渋公で2daysでした。

 タイトル通り“身も心も元気になりましょう”という想いのツアーだったと思います。一時は減っていたお客さんもどんどん入るようになっていて、それまで行けてなかった地方にも行けたはずです。打ち上げも楽しんでいたんじゃないか? うーん。ライヴのあとにみんなで食事に行った記憶はあまりないなー。この頃はライヴが終わるとすぐに同録した音源を事務所の社長やスタッフが入念にチェックして、次に向けたミーティングをしていたし、僕も喉のケアに余念がなかったんですよ。ホテルの部屋は大抵どこも同じだから、朝、目が覚めても自分がどこにいるのかよくわからないような状態で、ツアー先で旅情的なものを楽しむ余裕もほとんどなかったですね。ただ、讃岐うどんを食べに行った記憶はあります。とても美味しかったのでよく覚えています。いくつも楽屋がある会場では自分用の楽屋を用意してもらうようになったのも、この頃からじゃないかな。僕は精神的にいっぱいいっぱいで結構ピリピリしていたし、本番前にストレッチや発声練習をしたりするから、その方がメンバーにとってもいいのかなと思って。

――ピリピリしていたのは、バンドの命運を一身に担っているようなプレッシャーを感じてもいたからですか。

 そうかもしれません。FLYING KIDSの個性をどう表現していくべきなのかとか、同世代のミュージシャンたちの作品やライヴパフォーマンスと互角に渡り合うためには何ができるのかとか、いろんなことを考えていたと思います。そうは言っても歌うのも曲を作るのも好きでやってるわけですからね。ステージで全開になることで発散もしてたと思いますけど。

――“Refresh!! Body and Soul”ツアーではRCサクセションの『雨上がりの夜空に』をカヴァーしてたみたいですよ。

 アンコールでやってたんじゃないかな。なぜやることにしたのか憶えていないですけど、毎回すごく盛り上がったし、自分たちでも「かっこいいよね」と気に入ってました。佐野元春さんの『約束の橋』なんかもちょっとカヴァーしてましたね。

(暗闇でキッスの駅張ポスター)


インタビュー : 木村由理江