世直し対談
ゲスト
ローラン・安斎・モミー
巴里生まれ28才


肩書:WEBディレクター
興味:日本の行方・EC・多国文化論・おとづれを待つこと。
特技:ヨロッパと日本の橋渡し。

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浜:ローランはどこ生まれなんですか?
ロ:パリ、フランス。
浜:都会っ子だね。
ロ:まあ、フランスって土臭い所あるから、パリって言っても田舎者も多いし、すごく東京に比べたら和やかで、そんなに都会の緊迫感は・・
浜:そうだね、建物も高層ビルがあるわけじゃないしね。
ロ:まあね、すごく住み心地がいい。
浜:お母さんは日本の方なんですよね?
ロ:うん、大阪生まれ京都育ち。関西なんだけどね。
浜:デザイナーやってたんでしょ?おかあさん。
ロ:うん。
浜:お母さんがパリに行く理由ってどういう感じだったんですか?
ロ:お母さんはグラフィックデザインを日本でやっていて、ずっとポルトガルだとかスイス・・、ポルトガルにも住んでいたのかな?ヨーロッパを渡り歩いて、結局落ち着いたのがパリみたいで。で、そこにも当時(高田)賢三さん、その関西の友達がいるから居心地がいいっていうので定着して。仕事はマフィアっていうデザイン事務所の様な所に勤めて。
浜:マフィア・・(笑)。名前がすごいね。
ロ:そのKENZOと組んでジャングル・ジャップってKENZOの初めてのブランドを作ったって感じなんだけど。
浜:グラフィックデザインはやってたんでしょ?
ロ:テキスタイルデザインをその後やって。その一番忙しい時に僕が生まれたって感じなんだけど。
浜:お父さんはカメラマンでしたっけ?
ロ:うん。ファッションカメラマン。
浜:仕事の流れで知り合ったとか?
ロ:全然そんなかっこいい事じゃなくて、たぶんクラブかなんかでナンパされたとかそうゆうレベルの話で(笑)
浜:(笑)
ロ:で、お母さんに「なんか仕事しろ」とかなんとか言われて。日本製のNIKONのカメラを買ってもらって、じゃあこれで遊んでなっていう内に「これもありか、商売として。モデルもいるし、お金も遊び感覚で稼げるからいいじゃないか」っていう。たぶん、ロックミュージシャンに憧れてたから、一番近いのがそのカメラマンじゃないかな。ファッション業界で。
浜:小学校はパリ?
ロ:小学校、中学校はパリ。
浜:イギリスへ行ったんだよね?その後ね。
ロ:うん、その後イギリスに1年半。
浜:それ高校ですか?
ロ:うん、すごく楽しかった。まあちょっと郊外のキャンパスがある所で、テニスコートがあったりして、本当にイギリスの学校と言ってイメージするような、映画の中に出てくる様な感じだったんだけど。
浜:なんか噂によると問題児だったっていう。
ロ:いや、噂じゃなくて現実だったんだけど。
浜:(笑)。どの様な問題児だったの?
ロ:問題だらけで、勉強する気はないし、自分の好きなものだけしか習得しないし。
浜:もちろんその時は英語でやってたんだよね。
ロ:うん。問題は英語で何を勉強するかっていうのがあって。あまりにも普通の高校の授業が出来ないから、大学の授業受けて高校の単位取ってたっていう訳わかんない状態になってたんだけど。
浜:何が不満だったの、その頃は。
ロ:反抗期の時に何が不満って言われても・・。
浜:じゃあいいや、逆にいうと大学の授業は何が・・高校生なのに大学の授業を受講できるポイントはなんだったの?
ロ:ほとんど大学の授業って、自分が大学までに習得したものを吐き出す、それをどうやって表現するかっていう場をあたえてくれる所だと思うんだけど。それが出来る事、自分を表現できてそれを聞いてくれる人、それをまた磨いてくれる人がいるっていうのも、とてもためになったというか。
浜:要するに自分が与えられるんじゃなくて、自分から動いて何かをつかんでいくみたいな所に興味があったんだ。
ロ:で、帰ってくる。自分よりはるかに色々なものを勉強して人生経験のある人が、直で自分の言った事、やった事に対して、ちゃんと返してくれるっていうのはすごく気持ちいい。やっぱり対話がそこに存在するのが自分にとって充実感がある。高校では、教材というやっかいなモノがあって、それを通じて教師の人格に慣れるっていう。教材というメディアを通して、教師の色んな・・意地悪な人だったりすごくマニアックで細かいひとだったり、色んなタイプの人がいて、そういう事をわかるための授業だと思う。
浜:実際そういう所がかなりあるよね。
ロ:うん。
浜:大学は行ったんだよね。
ロ:いや、行ってない。
浜:その後高校卒業してどうしてたの?
ロ:その前に倒れたから。
浜:うん?日本に帰ってきたよね?一時期。
ロ:うん。
浜:その時会ったんだよね、初めて。あれ何年くらい?90年代だよね。
ロ:たぶんそう。桑原茂一さんの所でしばらく、修行させてもらっていて。
浜:何をやっていたんですか?
ロ:肩書きは茂一のアシスタントだったんだけど。
浜:フリーペーパーだよね?
ロ:「ディクショナリー」の編集も含めて、ギャルソンの選曲の仕事もあり、レコードの制作にもかかわっていた。
浜:その頃高校生だったの?そうかあ・・・(笑)
ロ:(笑)なんで?
浜:なんか大人びてたから・・。その時高校の途中で日本に帰って来たの?
ロ:うん。
浜:半ば、高校辞めるみたいな感じだったんですか?
ロ:だからもうイギリスで、このまま大学の授業受けてるのに大学は卒業できなくて、高校の単位取ってるっていうのは問題だし、「このままいるわけにはいかないでしょ」って言われて、とりあえず日本で高校を終わらせるかって、アメリカンスクールにちょっと行ったの。
浜:卒業したの?
ロ:それも辞めた。
浜:(笑)結局高校卒業してないんじゃないの?
ロ:うん。高校も卒業してないの。
浜:ちょっと病気になったんだよね。きちんと言っといたほうがいいと思うんだけど、今病気で半身が・・
ロ:半身不随。
浜:病気してパリへ帰ったんだよね。
ロ:まあ、歩けるようになるまで日本にいて、どう考えても障害者として東京で暮らしていく自信はなかったんで、とりあえず母国に帰って。さっきも言ってたその田舎っぽい土くさい感じは、たぶんいいんじゃないかなっていう風に思って。帰ってのんびりと暮らして、仕事もしながらリハビリに励んでたんだけど。
浜:パリではどんな事やってたんですか?
ロ:広告代理店でグラフィックデザインしていて、そのうちA.P.Cという会社からホームページを拡大して変えていきたいのでWEBマスターやってくれないかって頼まれて。まあ、そうゆう活動もしつつ。
浜:それで日本にさらに帰ってきたのは去年か。
ロ:うん、そう。
浜:去年ですよねえ。2000年。まだ最初はA.P.Cやってたよね?
ロ:最初はA.P.C。
浜:なんか音楽系の仕事もやってたよね。A.P.Cでね。
ロ:A.P.C、日本ではレーベルがあるから。すごくデザイナーの趣味主張が独断と偏見でそこで表れているから、ちょっとまあ日本のマーケットでは伝わりにくい部分があって。それをどう人にわかり易くするかっていう作業があって、その部分にかかわっていて。
浜:その時は神戸に行ったんだよね。
ロ:うん。
浜:東京に戻ってこないで、パリから神戸。
ロ:まあ、やっぱり関西っていうのが・・。のんびりしている、人間っぽい人間臭い生活がしやすい所を目指して、いきなり東京よりも神戸経由で来たんじゃないかな。
浜:最近また東京に戻ってきましたよね。
ロ:はい。
浜:じゃあ色んな話したいんですけど。外から日本を眺めた人に色々話しを聞いてみて、客観的な話をこのページではやって行こうかなと思っているんですけれども。まあ学校・・さっきローランが言ってたイギリスとかさ、フランスの学校で過ごして来た中で、イギリスでもまあどっかぶつかっていくみたいな状況もある中で、今なんか学校にまつわる問題っていうの?日本でもやっぱり・・
ロ:まあ学校にかぎらず大きく教育?
浜:そうだね、教育の問題。
ロ:その前のたぶん親の教育も、まあその環境そのものが与える、まあ教育環境っていうのが、今すべて問われてると思うんだけど。
浜:一応日本の学校も、日本にある学校?アメリカンスクールも行って、色々な国の学校、教育みたいなものにたずさわってきた中で、感じることってありますか?
ロ:そこで学校制度、いわゆる教師だったり、その学校が選んだ教材だったり、まあそこの規則によってどれだけ出来上がる生徒の人格が影響されてるのか。どれだけ、他の生徒達が育ってる環境とか、国の風土が影響して人格を形成して、そういう人間関係が自分を作っていくっていう部分があるから、もしかしたら学校と同じくらい、同級生達が影響するっていうのがあると思って。その日本の超競争社会が学校の中でも友達の中でもあって、とても弱者にとっては辛い状況。
浜:それは何?例えば他の国、限定されるでしょうけど、ローランが知っている日本じゃない国の感覚っていうのかなあ。僕は日本で育ってきちゃったから、その超競争社会みたいなのをあたり前だと思っているし、それ以外どういう状況があるのかっていうのを想像しづらいんだけども、どういう・・その日本が超競争社会と表現するのであるのならば、例えばイギリスだったりフランスだったりするのはどんな言葉で言えるの?
ロ:たぶんどこでも競争はあると思うけど、その中で弱者がいじめられたり、そうやって一人ぼっちにさせられたり色々、難しい、孤立して一人で自分でそうゆう社会に対して学校の制度に対して戦っていかなければだめな、すごく孤独な状況になってる日本っていうのは、それを守る人たちっていうのはどっかでいない?その学校の中で、それが場合によっては教師であったり、まあ他の生徒だったり、そうゆう正義感の持ってる人?まあ自分が迷惑をこうむって、多少カバーしてでも、弱い者でも守ってあげるそういう正義感の持った強い人っていうのが、なかなか存在しにくい。
浜:逆に言えば存在しやすい状況っていうのがローランが過ごして来た学校の中にはあったって事ですよね。
ロ:それも今フランスでもイギリスでも日本と同じ状況が多発してるんで、
浜:は〜。
ロ:そうゆう理念を持った人たちが単純に存在しにくい状況になってきたのかもしれないな。
浜:世界中がね。
ロ:世界中。だから日本があまりにも他の問題が同時に、不況だったり、核家族だったり、そういうのが未解決のままであるから、それがなお拍車がかかって悪化しているだけであって、そんなに特別なことじゃないかもしれない。
浜:ただまあその教育っていう問題はそういう事なんだろうけど、その環境っていうの?教育を取り巻く環境みたいなのが、もうちょっと別の要素で存在しているって事だよね。他の国だったりする場合はね。
ロ:一番最悪だと思うのはたぶんこの市場経済っていうものが、いろんな風に我々の社会 の価値観を変えていっているような気がする。
浜:音楽だけじゃなくて、色々な仕事はあると思うんですよ、世の中にさ。自分が何をやって何が出来るのか、何をやりたいのか。その中で自分がこんな事出来てるとかやってるとかっていう事。でも、結果として他者とのつながり・・そこがビジネスだったり、感動だったりするわけなんだけど、そういうものがへばりついてきてるのが原則だと思うんですよね。核になっていると思うんだけど。どっかでその、目標がまずあるわけ。売り上げなければならないとかさ、働かなければならないとかっていうような、勝たなければならないとかっていう目標があって、そこをまず最初にして何かをやってる。自分っていうものより目標の方が先に立っちゃってるっていうか。自分が出来る事を変えてまでもその目標にゆだねられてはいないか、突入していかないとだめな人間になってしまうんではないかっていうような恐怖感みたいなものをどっかで持ってるような気がするんですよ。
ロ:人間の価値は仕事の成果に置くのか、本当に人間的な部分、その心の賢さって僕は呼んでるんだけど、その頭の賢さだけじゃなくて、心のやさしさも含めた心の賢さみたいなものがどれだけあるかっていう判断基準ができれば、よりバランスの取れた人間が育ちやすい環境になる。
浜:そうだよなあ。
ロ:まずバラエティがないっていうのが、バラエティが許されない?
浜:バラエティってようするに・・
ロ:あの、その音楽の、テレビ番組のバラエティとは違って、
浜:ようするに幅だよね。いろんな種類みたいな事だよね。
ロ:でも東京みたいな市場だと、いろんなタイプの音楽だしても、必ず聴いてくれてる人達はパリやロンドンよりも数は多いと思うのね。そういう意味では色々な音楽が生まれやすい環境なんだけど、一方ではその売上目標が他のどの国よりも高いんで、そのマーケットがあったとしても、結局売上目標に到達しないと、
浜:だめでしたになっちゃうわけなんですよね。
ロ:うん。結局だめじゃないか、このジャンルは売れないからやめとこうって。そういう環境を作ってるのは市場経済の価値観。
浜:そこがちょっと厳しいんじゃないっていうか、問題あるんじゃないって話ですよね。
ロ:まあ、結局そうなんけど、じゃあ市場経済よりもっと優れた経済の在り方を提案あるのかっていったらないんだけど。でもそうではないって思ってるのは確かだし。
浜:まあ、このままどんどんねえ、山登りのように目標だんだん高く高く積み上げていって、きりがないって事に気がつきはじめてるわけじゃないですか。
ロ:うん。
浜:で、一回上って必ず市場経済の原則でいうとさ、誰かが下りなきゃいけないですよね。いすとりゲームみたいなものだからさ。そうゆうハードな人生、ハードな世の中っていうのを生きていく事って本当は楽しいのかっていう見直しには入ってるような気がするんだよね。
ロ:だから、生きるために働くのか、働くために生きるのか、まあその定位?その労働っていうのが、たぶんその価値も考えていかなきゃいけないんでしょうけど。
浜:あの、色々な人に会ったって話聞くんだけれども、ああこんな生き方していて素晴らしいなっていう風に思った人?そんな人って誰かいます?まあ、ローランがああゆう風になっていきたいなっていう人・・。
ロ:・・現実にはなかなかいないね。現実は厳しいし、多面的だから。一面しか見ないととても魅力的だったりする人はたくさんいるけど、他の面がどうしても目につくと、やっぱり僕とそんなに変わらないかもしれないなっていう風に思ってしまうんで、せいぜい映画の主人公ぐらいかな。
浜:何、それどういう意味?理想だね理想。
ロ:それはたぶん映画の場合は、一部しか見えないから、憧れる要素になるんでしょうけど。イタリア映画で「ラ・メッサ・エ・フィニータ(邦題・ジュリオのとまどい)」ってナンニ・モレッティって監督の映画があるんだけど、彼(主人公)は神父で、とても感情的で自分の信念でついつい人を殴ってしまったり。その殴っても愛情を込めて、その人に変わってもらったりだとか目覚めてほしいっていう感情をこめて、そういうある種の暴力みたいなので訴える。すごくその怒りの表情だったり、それがすごく素直で。中年なんだけど、まだ子供っぽいところもあって、そういう生き方も・・。
浜:無邪気にストレートに信念に基づいてみたいなね。
ロ:まさにそうなんだけども。それはなかなかやりにくい事だし、
浜:そうだよね。
ロ:うん。信念をもって熱くなると、熱くなるなって言われるし。無邪気な所を見せると大人になりなって言われるし、大人になったらかわいくないっていう風に言われるし、んー、じゃあどうすればいいのか。
浜:たしかにな、難しい問題だな(笑)。
ロ:まあ、それでよくファッションデザイナーが自分の洋服について話すときに、その問題が出てくるんだけど、アバンギャルドな事やりたいけど、アバンギャルドすぎるとおもしろくないし、っていうかわからない。伝わらない。で、新しいものがしたい。ノスタルジックでいてほしいけど、古いのは困る。なんか・・とても中途半端な部分でいたがる、
浜:その、普通である、普通でいたい、普通じゃないと不安だみたいな気分の人って案外いっぱいいるんじゃないかなって最近ちょっと思い始めたんですよ。
ロ:どういう事?
浜:例えば学校の話?目立つといじめられるしさ、今の話に近いんだけど。
ロ:出たクイは抜かれる。
浜:引っ込んでるといつかはやられるし。結局真ん中の方にね、こうみんな集まってくるっていうかさ。
ロ:その中で自分の個性を維持したいっていうのはたぶんあると思うんだけど。
浜:そうそうそう。あるんですよ。
ロ:ただある意味ではそうゆう人達はすごく怒ってたり、フラストレーションかなんだかわからないけどたまっていて。でも外の表現の場は標準規格にはまっているような気がする。それはサラリーマンの社会はとてもその抗争社会のど真ん中だからしかたがないんでしょうけども。
浜:でも標準規格っていったい何なのかって最近俺わからなくなっちゃってるわけ。普通っていったい何なのかって言われるとさ、知らない、何かわからないっていう正直な意見があるんですよね。平均的であったりする事、それから普通である事って・・。
ロ:それたぶん大企業の人事部に聞いたら一番いい。
浜:(笑)
ロ:標準規格のプロフィールっていうのがあると思うんで。
浜:は〜。いまだにそうゆう人が求められているかっていったらそうでもないじゃないですか、最近は。
ロ:でもやっぱり問題をおこさない、仕事の出来る人が欲しいから。特にこの不景気の中で色々問題を起こすような人とか、自己主張が強すぎると、まあ困るっていうのがあるんじゃないかな。
浜:そういうさ、今言ってたような普通な通常の感覚っていうのは、そのフランスとか特に個人主義が発達してる国において、どうなんですか?
ロ:逆に普通だとフランスはいじめられる。
浜:へえ。
ロ:まず友達がいない、相手にされない。普通って最低の人の評価の仕方。
浜:「お前、普通だな」って言われたら、ガーンみたいなね(笑)。
ロ:だから結構そうゆう意味では、みんな自分の個性を磨くのに必死。あと、みんなすごく変わってるから、そん中で跳ね返って自分がどうゆう人なのかってわかりやすくなる。フランスにある競争ってそういうものかもしれない。
浜:はあ〜。
ロ:だから個性のない人がいてもいいんだけど、その分学校の勉強が出来て、優等生っぽくなって、やっぱりつまんないから勉強が出来るんだとかっていう風になっちゃう。それもすごく意地悪いし、いいか悪いかっていったら悪い方だと思うんですけど。だから個性がある人がすべて正しくなるっていうのもよくないし。優等生タイプもいるのもおもしろいし。
浜:イギリスはどうなんですか?
ロ:イギリスも似たようなもんなんじゃない。ヨーロッパは大人しくして自分の席にだまってすわってると、隣の国が占領して言語を変えられて、家族全員殺されて、食料全部奪われるような歴史をずっと重ねてきたから。必然的に自分から前に主張してこれが自分の国境、領域、自分の文化って主張していかなければすぐ占領されてしまうっていう。
浜:まあ、ある種ヨーロッパの奥深さっていうんですか?そういう競争の歴史なんでしょうね。
ロ:戦争。
浜:うん。戦争の中ではぐくんできた優性遺伝子みたいなもんだね。
ロ:フランスには白人が多いんだけど、アラブ人の移民だとかアフリカ人の移民だとか、今のように入っていなかったらとてもつまんない国になってたかもしれない。平均化された、カソリックの保守的な国になってたでしょうから。今以上に保守的になってた。たぶん、戦争によってだけじゃなくて経済的な状況、自分の経済的な不況から逃れてフランスに流れて働いている人達がもたらすその社会的な影響っていうのはとても大きいと思うし。
浜:まあ(フランスに)行くと本当にあらゆる国の人たちの街があったりしてさ、それこそアフリカ系だったりアジアだったり、アジアの中でもコリアン街だったり日本、ベトナム、それからアラブの人達。
ロ:ユダヤ。
浜:ユダヤの人達もあるし、とにかくすごく多国籍なイメージは意外だったね。いろんな人達が集まってる街なんだなって思った。
ロ:ニューヨークタイムズがワールドカップ優勝した時に書いたのは、「色んな国を受け入れる力がフランスを優勝させた」って。フランスそのものの力っていうのはそれだけ。受け入れる力。フランスがどうやって色んな、異国の人を受け入れる力を持っていけるのかっていうのが課題だと思う。日本も多分そういう力がついたら非常におもしろい事になりえると思う。日本人は基本的に好奇心旺盛だし、柔軟性があるからたぶん違う文化には適応しやすくてそれを受け入れてまた自分の栄養として自分の物にする力、もともとあると思うし、それを習得して、さらに日本の文化っていうのはそん中で成長して美化されると僕は信じているんだけど。今のこの不況の中では、そういう考え方っていうのは生まれにくい。
浜:ローランが言っている世界中シャッフルみたいな感覚?そんな集者選択みたいなのがあって。で、勝ち残っていった何かがおもしろい、素晴らしい、楽しいとか、感動的だったりするしさ。
ロ:そういう競争は健康的なんじゃないかな。
浜:ちょっと漠然としちゃうかもしれないんですけれども、夢。自分がこう仕事を今後していって・・。遠い夢でもいいし、近い夢でもいいし、目標みたいなものでもいいんですけど、聞いてみたいなあと思うんですけど。
ロ:んん・・・、フランス人でもあるし、日本人でもあるから、日本人としての誇り?まさに持てる様な国になって行くように協力できる事があったらしたいなと思って。それはどの部分であっても、自分のその時に活躍している場所で、意思を持ってやっていきたいし、それが何か結果をもたらす事を期待して続けてるんだけど。まあ当然日本がすぐに大きく変わるとは思ってないし、何十年もかかるかもしれないし。今ちょうどみんなその何か変わってる予感がしてるけど、その不安?どっちに転ぶのかちょっと見えない。で、どの国も歴史の中にそういう事があった。ちょうど僕はパリに帰ってた時にECが統合するっていうのがあって、とても問題にされていて、そういう時期が長く続いていた。
浜:まあ、ある種の構造改革だよね。
ロ:で、不況も長く続いた国であって、やっと抜け出したのはフランスでもあるし、近いようなものを経験している。そういう意味では、その経験を今の日本がすればいいなって思っているんだけど。その現代を生きてる日本人とともに、成長していく自分がおもしろい。それが夢というか現実であってほしいけど。
浜:そうだねえ。

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